Web制作の提案依頼書(RFP)の書き方|書く項目とそのまま使えるひな形

ホームページを作る、あるいはリニューアルすることになり、何社かに見積もりを頼んだ。ところが返ってきた金額はばらばらで、提案の中身もそれぞれ違い、どれが良いのか比べようがない。
これはよくある話です。原因の多くは、依頼する側が「何を、なぜ、どこまで」を伝えないまま相談していることにあります。制作会社は足りない情報を想像で埋めて提案するので、前提がそろわず、比べられない提案が集まります。
これを防ぐのが提案依頼書(RFP)です。この記事では、Web制作のRFPに書く項目と書き方、よくある失敗、提案を受け取ったあとの比べ方を整理し、最後にそのまま使えるひな形を載せています。
- RFP(提案依頼書)とは
- RFPなしで依頼すると起きること
- RFPに書く9つの項目
- 予算は書いたほうがいい
- 書くときのコツと、よくある失敗
- 提案を受け取ったあとの比べ方
- そのまま使えるRFPのひな形
- 動画制作を頼むときのRFP
RFP(提案依頼書)とは
RFPは Request for Proposal の略で、制作会社に「こういう条件で提案してください」と伝えるための書類です。
見積もり依頼との違いは、金額だけでなく、進め方や考え方まで含めた提案を求める点にあります。「5ページのサイトを作ったらいくらですか」ではなく、「こういう目的があるので、どう作るのがよいか提案してください」と頼むための書類です。
小さな案件でも作ったほうがいい
RFPというと大企業の大型案件のものという印象があるかもしれません。ただ、中身は「会社のこと」「作る目的」「条件」を1つにまとめたものです。数ページのコーポレートサイトでも、A4で2〜3枚にまとめておくだけで、相談の質がかなり変わります。
1社にしか相談しない場合でも役に立ちます。最初の打ち合わせで同じ説明を何度もせずに済み、話が早く進みます。
RFPなしで依頼すると起きること
RFPを作らずに相談すると、次のようなことが起きやすくなります。
- 見積もりの金額がばらばらになる:各社が想定するページ数や機能が違うため、金額の差が「高い・安い」ではなく「前提の違い」になっている
- 提案の中身を比べられない:ある会社はデザインの話を、ある会社は集客の話をしていて、同じ土俵に並ばない
- あとから追加費用が出る:原稿や写真を誰が用意するか、公開後の更新をどうするかが決まっておらず、進めてから追加になる
- 目的からずれたものができる:見た目の要望だけが伝わり、何のために作るのかが共有されないまま進む
どれも制作会社の力量というより、最初に伝えた情報の量で決まる問題です。
RFPに書く9つの項目

RFPに書く項目は、大きく「前提を伝える」「作るものを伝える」「条件を伝える」の3つに分けられます。
1. 会社と事業の概要
何をしている会社で、誰がお客さんなのか。制作会社は業界の事情を知らないことも多いので、社内では当たり前のことも書いておきます。会社案内や既存の資料があれば添付すれば十分です。
2. 今回の目的と背景
RFPでいちばん大事な項目です。 なぜ今、サイトを作る(直す)のか。問い合わせを増やしたいのか、採用を強化したいのか、会社の信用を示したいのか。
目的がはっきりしていれば、制作会社はそれに合わせた提案を出せます。逆にここが空欄だと、提案は見た目の話に寄っていきます。
3. 現状の課題
今のサイトで困っていることを具体的に書きます。「スマホで見づらい」「更新を頼むたびに費用がかかる」「問い合わせがほとんど来ない」など。分かる範囲で、アクセス数や問い合わせ件数などの数字があると、提案の精度が上がります。
リニューアルの判断そのものに迷っている場合は、コーポレートサイトのリニューアル|時期の見きわめ方と進め方も参考にしてください。
4. ターゲット
誰に見てほしいサイトなのか。取引先の担当者なのか、一般のお客さんなのか、求職者なのか。見てほしい人が変われば、載せる内容も、言葉の選び方も変わります。
「30代男性」のような属性だけでは、提案する側も判断できません。立場・困っていること・決裁の構造まで書けると、提案の精度が上がります。書き方はペルソナ設計のやり方にまとめています。
5. 制作範囲
何を作ってほしいのかを書きます。
- 必要なページのおおまかな一覧
- 必要な機能(お問い合わせフォーム、お知らせの更新、採用情報など)
- 原稿と写真を誰が用意するか(自社で用意する/制作会社に頼みたい)
- ロゴや名刺、動画など、サイト以外に頼みたいものがあるか
ページ数が決まっていなくても構いません。「会社概要・事業紹介・実績・お問い合わせは必須。ほかは提案してほしい」のように書けば伝わります。
サービスごとに別のサイトを作るかどうかで迷っている場合は、サービスサイトとコーポレートサイトの違いで判断の目安をまとめています。
6. 公開後の運用
見落とされやすいのに、あとから費用の差が大きく出る項目です。 公開後、お知らせや実績の更新を誰がするのか。自社で更新したいのか、制作会社に頼みたいのか。サーバーやドメインの管理はどうするのか。
自社で更新したい場合は、それができる作りにしてもらう必要があります。最初に書いておかないと、更新のたびに依頼が必要な作りになることがあります。
7. 予算
おおよその金額を書きます。理由は次の章で説明します。
8. スケジュール
公開したい時期と、その理由を書きます。「展示会に合わせたい」「期末までに」など理由があると、制作会社は逆算して無理のない進め方を提案できます。社内で確認や承認にかかる時間も、あらかじめ見込んでおきます。
9. 提案で出してほしいもの・選び方
各社に同じものを出してもらうために、提案に含めてほしい内容を指定します。
- 目的に対する考え方と、サイトの構成案
- 見積もりとその内訳
- スケジュールと、担当する体制
- 公開後の運用・保守の内容と費用
- 似た実績
あわせて、提案の締め切り、質問の受付方法、選ぶときに何を重視するかも書いておきます。
予算は書いたほうがいい
予算を書くと足元を見られるのではないか、と心配して空欄にする方は少なくありません。ただ、予算がないと制作会社は規模の想定ができず、ある会社は最小限の構成で、ある会社はかなり作り込んだ構成で提案してきます。結果として、比べられない提案が集まります。
予算が分かっていれば、各社はその金額の中で何ができるかを考えて提案します。同じ条件で比べられるので、提案の考え方や質の違いが見えやすくなります。
決まっていない場合は「◯◯万円〜◯◯万円程度を想定」と幅で書いても十分です。見当がつかない場合は、そう書いたうえで「規模ごとの案を出してほしい」と頼む方法もあります。
書くときのコツ
完璧に書こうとしない
RFPは、社内の考えを整理して伝えるための書類です。専門用語を使う必要も、細かい仕様を決め切る必要もありません。決まっていないことは「未定。提案してほしい」と書けば、それも立派な情報になります。
社内で優先順位を決めておく
いろいろな部署の要望を集めると、あれもこれもと項目が増えます。全部を盛り込むと、目的がぼやけ、予算も合わなくなります。「これだけは外せない」ものを3つ程度に絞っておくと、提案がぶれにくくなります。
参考サイトは「どこが良いか」まで書く
参考にしたいサイトのURLを載せるのは良いことです。ただ、URLだけでは色が好きなのか、構成が好きなのか、写真の使い方が好きなのかが伝わりません。1行でいいので、良いと思った理由を添えます。
よくある失敗
- 目的が「かっこいいサイトにしたい」だけ:見た目の要望しか伝わらず、提案の比べどころがデザインの好みだけになる
- 機能だけを並べる:必要な機能の一覧はあっても、なぜ必要かが書かれていないと、削ってよいものと削れないものが判断できない
- 原稿と写真の用意を決めていない:制作が始まってから「原稿はどちらが書くのか」で止まる。スケジュールが遅れる原因としてよくあるものです
- 公開後のことを書いていない:公開後の更新方法や保守の費用が見えないまま契約し、あとから想定外の費用が出る
AIを使ってサイトを作ることを検討している場合も、目的と範囲を先に決めておく点は同じです。AIでサイトを作るときの注意点でも触れています。
提案を受け取ったあとの比べ方

提案がそろったら、金額だけで決めずに、次の4つの観点で並べて見ます。
- 目的に答えているか:RFPに書いた目的や課題に対して、どう解決するかが書かれているか。見た目の話だけになっていないか
- 範囲と前提がそろっているか:ページ数、原稿や写真の用意、修正回数など、金額の前提になっている条件がRFPと合っているか
- スケジュールと体制に無理がないか:誰が担当し、どの段階で何を確認するのか。こちらの確認に必要な時間も入っているか
- 公開後の運用まで見えているか:更新の方法、保守の内容と費用、困ったときの連絡先が書かれているか
金額に差がある場合は、たいてい2つ目の前提の違いが原因です。前提をそろえて比べると、金額の差の理由が見えてきます。不明な点は、選ぶ前に各社へ質問して確認します。
そのまま使えるRFPのひな形
以下の表をコピーして、右の列を自社の内容に書き換えて使ってください。すべて埋まらなくても構いません。分からない項目は「未定」と書いておけば、制作会社が提案の中で補ってくれます。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 1. 会社と事業の概要 | 事業内容、主なお客さん、会社の強み | 京都で金属部品の加工をしている。取引先は関西の機械メーカーが中心 |
| 2. 目的と背景 | なぜ今作る(直す)のか、何を達成したいか | 新規の取引先からの問い合わせを増やしたい。今のサイトは10年前に作ったまま |
| 3. 現状の課題 | 今のサイトで困っていること、分かる範囲の数字 | スマホで見づらい。更新のたびに外注費がかかる。問い合わせは年に数件 |
| 4. ターゲット | 誰に見てほしいか | 新しい外注先を探している機械メーカーの購買・設計担当者 |
| 5. 制作範囲 | 必要なページ・機能、原稿と写真の用意、サイト以外に頼みたいもの | 会社概要・加工内容・設備・実績・お問い合わせは必須。原稿は自社で用意、写真撮影は依頼したい |
| 6. 公開後の運用 | 更新する人、保守の希望 | お知らせと実績は自社で更新したい。サーバー管理は任せたい |
| 7. 予算 | おおよその金額か幅 | ◯◯万円〜◯◯万円程度を想定。規模ごとの案もほしい |
| 8. スケジュール | 公開したい時期とその理由 | 来年3月の展示会までに公開したい |
| 9. 提案に含めてほしいもの | 構成案、見積もりの内訳、体制、運用費、実績、締め切り | 上記に加え、◯月◯日までにメールで提出。目的への考え方を重視して選ぶ |
動画制作を頼むときのRFP
同じRFPでも、動画の場合は決める項目が変わります。Webの9項目のうち「制作範囲」と「公開後の運用」が、動画では別のものに置き換わるためです。
| 項目 | Web制作のとき | 動画制作のとき |
|---|---|---|
| 目的 | 問い合わせを増やす・会社を正しく伝える | 同じ。ただしどこで流すかを必ず書く |
| 範囲 | ページ数・機能・原稿と写真 | 本数・尺・企画/撮影/編集のどこから頼むか |
| 素材 | 原稿・写真を自社で用意するか | 撮影が要るか、既存素材を使うか、ナレーションの有無 |
| 納品の形 | 公開・サーバー | 解像度・縦横比・ファイル形式・短縮版の有無 |
| 運用 | 更新の方法と保守 | 出演者の異動時の差し替え、再編集の可否 |
| 確認 | デザイン案・テスト公開 | 構成案・初稿・修正回数(ここを書かないと揉めます) |
動画のRFPでいちばん抜けるのが「どこで流すか」です。 サイトに置くのか、展示会で流すのか、採用説明会で使うのか。これが決まっていないと、尺も構成も決められず、各社がばらばらの前提で見積もります。置き場所ごとの考え方は企業VPと会社紹介動画の違い、採用動画の構成、展示会で流す動画にまとめています。
次に抜けやすいのが修正回数と、どの段階で確認するかです。動画は編集が進むほど直すコストが上がるので、「構成案の段階で確定、初稿で2回まで」のように先に書いておきます。発注後の指示の出し方は動画編集を外注するときの注意点にまとめています。
Webと動画を同時に頼む場合は、1枚のRFPにまとめて構いません。目的と会社概要は共通なので、制作範囲の欄だけWebと動画に分けて書きます。
まとめ
- RFP(提案依頼書)は、制作会社に同じ前提で提案してもらうための書類。小さな案件でも、A4で2〜3枚あれば効果がある
- 書く項目は9つ。いちばん大事なのは目的と背景。見落とされやすいのは公開後の運用
- 予算は幅でもよいので書く。前提がそろい、提案を比べやすくなる
- 完璧に書こうとせず、決まっていないことは「未定」と書く。外せない条件は3つ程度に絞る
- 提案は金額だけでなく、目的への答え・前提・体制・運用の4つで比べる
京都市南区の株式会社HSEでは、コーポレートサイトの制作・リニューアルを、目的の整理から公開後の運用まで一貫してお手伝いしています。RFPがまだ固まっていない段階でも、デザイン・Web制作のサービスをご覧のうえ、お問い合わせからお気軽にご相談ください。