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展示会で流す動画|無音・ループ前提の作り方

展示会で流す動画がうまくいかない原因は、たいてい内容ではなく見られ方を想定していないことです。ブースの前を歩いている人は、音を聞いていません。頭から見てくれません。見ているのは、長くて5秒です。

Webサイトに置く動画の作り方をそのまま持ち込むと、この3つで全部外れます。ナレーションで説明する、冒頭から順に組み立てる、2分かけて理解してもらう。どれも展示会では成立しません。

この記事では、モニターを置く位置ごとの違い、無音で伝わる画面の作り方、ループの長さとつなぎ方、当日の再生設定を順に書きます。

  • 展示会の動画は、3つの前提から決まる
  • モニターをどこに置くかで、作るものが変わる
  • 無音で伝わる画面にする
  • ループの長さと、つなぎ方
  • 何を映すか
  • 当日の再生設定
  • 商談スペースで流す動画は別に用意する
  • よくある失敗
  • 展示会が終わったあとにやること
  • まとめ

展示会の動画は、3つの前提から決まる

ブースで流す動画は、次の3つが最初から決まっています。これを前提にすると、作るものはかなり絞られます。

前提 起きること 決まること
音が聞こえない 会場のざわめきで、スピーカーの音は届かない ナレーション前提で作らない
途中から見られる 歩いている人は、好きなところで目を向ける どこから見ても分かる構成にする
何度も繰り返す 同じ映像が1日中流れる ループのつなぎ目を目立たせない

この3つを満たすと、ストーリー仕立ての動画は選べなくなります。 起承転結は、頭から見た人にしか届きません。展示会で必要なのは、物語ではなく、どこを切り取っても意味が分かる画面の連続です。

音については、会場によってはスピーカー使用そのものが制限されます。出せる場合でも、隣のブースの音とぶつかって聞き取れないことがほとんどです。音は「あったら少し伝わる」程度のものと考え、無音で成立する作りにしておきます。

モニターをどこに置くかで、作るものが変わる

同じブースでも、モニターの位置によって見る人の距離と状態が変わります。先に位置を決めてから、中身を決めます。

展示会のモニター位置別・動画の作り分け

通路向けの大型 机上の小型 商談スペース
見る距離 3〜5m 1m以内 1〜2m・着席
見る人 歩いている人 立ち止まった人 話を聞く気のある人
見られる時間 3〜5秒 20〜60秒 最後まで
役割 足を止めてもらう 説明を補う 理解してもらう
文字の大きさ 画面の高さの1/8以上 1/12程度 通常の字幕でよい
長さ 20〜40秒 60〜90秒 3分以上でもよい

最初に作るべきは、通路向けの1本です。 立ち止まってもらえなければ、机上のモニターは見られません。予算や時間が限られているなら、通路向けを優先します。

通路向けは、遠くから文字が読めることが条件です。近くで見ると大きすぎると感じるくらいがちょうどよく、画面の高さを8で割った大きさを下限の目安にします。50インチのモニターなら、文字の高さが8cm前後です。

机上のモニターは、立ち止まった人が手元の資料と見比べながら見ます。ここでは製品の詳細や工程など、情報量を増やして構いません。

無音で伝わる画面にする

無音で伝えるには、字幕を足すのではなく、画面の作り方そのものを変えます。

  • 1画面に1つのことだけ入れる|2つ書くと、どちらも読まれません
  • 文字は短く切る|15文字を超えると、歩きながらでは読み切れません
  • 1画面を3秒以上出す|読む時間が要ります。カットを速く割らない
  • 映像と文字を一致させる|映っているものと違う話を文字で書かない
  • ナレーションの書き起こしを字幕にしない|話し言葉は長すぎて読めません

字幕とテロップは別のものです。字幕は話した内容を文字にしたもので、テロップは画面で伝えたいことを短く書いたものです。展示会で要るのはテロップのほうです。

色は、会場の照明が明るいことを前提にします。暗い映像は、照明の下ではほとんど見えません。薄いグレーの文字、白地に白に近い文字、暗い背景に暗い文字は避けて、はっきりした明暗差をつけます。

ループの長さと、つなぎ方

ループする動画は、同じ人が2周見ることはないという前提で作ります。立ち止まった人が見るのは、長くても1周です。

ループする動画のつなぎ方

長さの目安は次のとおりです。

  • 通路向け:20〜40秒。短いほうが、同じ内容が頻繁に流れて目に入ります
  • 机上:60〜90秒。立ち止まった人が一通り理解できる長さ
  • 3分を超える:ループには向きません。同じ場面が次に来るまでが長すぎます

つなぎ方では、最後のカットと最初のカットを似た画にしておくと、切り替わりが目立ちません。真っ黒に落として暗転で終わると、ループのたびに画面が消えて、通路からは「止まっている」ように見えます。暗転は入れないでください。

会社ロゴやキャッチコピーで締める構成もよく見ますが、ループ前提ならロゴは最後ではなく画面の隅に常時出すほうが機能します。どのタイミングで目を向けられても、どこの会社かが分かります。

何を映すか

展示会で足が止まるのは、その場に持ち込めないものが映っているときです。

  • 大きくて運べないもの|設備、装置、施工した現場
  • 動いているところ|加工、組み立て、搬送。静止画では分からない動き
  • 中が見えないもの|内部構造、断面、分解した状態
  • 時間のかかること|数日かかる工程を早送りでまとめる
  • 人の手つき|手作業の精度や扱い方

逆に、ブースに現物がある製品を映しても足は止まりません。目の前にあるものを画面で見る理由がないからです。現物がある場合は、その製品が使われている現場や、作っている工程を映します。

製造業では、工場の工程を映した映像が強く働きます。工場見学に来てもらう前に、どんな現場かを見せられるからです。製造業のホームページでも同じことが言えますが、展示会の場合はさらに、その場で「見学に来ませんか」と話を進められます。

当日の再生設定

当日になって動かないのは、たいてい中身ではなく設定です。前日までに確認します。

  • ファイル形式:MP4(H.264)。モニター内蔵のUSB再生は対応形式が限られます
  • 解像度:1920×1080。4Kは再生できない機器があります
  • 音量:ゼロにする。ミュートではなく音量ゼロ(ミュートは解除されることがあります)
  • 自動再生とリピート:電源を入れたら自動で始まり、繰り返す設定にする
  • スリープ・省電力:オフにする。数十分で画面が消える初期設定の機器があります
  • USBメモリ:FAT32でフォーマット。動画ファイルは1つだけ入れる
  • 予備:USBメモリを2本用意する。同じファイルを入れておく

可能なら、本番と同じモニターで事前に再生テストをしてください。 レンタル機材の型番が分かれば、その機種の対応形式を調べられます。会場で初めて差して動かないと、代わりがありません。

モニターの高さも決めておきます。通路向けは、画面の中心が床から1.4〜1.6mにあると、立っている人の目線に合います。机上に平置きすると、通路からは画面が見えません。

商談スペースで流す動画は別に用意する

ブースの奥で座って話す場面には、通路向けとは別の1本が要ります。ここでは音を出せますし、最後まで見てもらえます。会社の全体像や、導入事例を順に説明する構成が向いています。

この使い分けは、企業VPと会社紹介動画の違いで整理したとおりです。商談用は3〜10分、通路向けは20〜40秒と、別物として考えます。

1回の撮影で両方を書き出すのが現実的です。長いほうを先に作り、そこから短い版を切り出します。 逆の順番だと、長い版を作る段階で素材が足りず、撮り直しになります。

社員や代表のインタビューを入れる場合は、商談用だけにします。通路向けに人が話している映像を入れても、音が聞こえないので意味が伝わりません。撮り方はインタビュー動画の撮り方にまとめています。

よくある失敗

  • ナレーションに頼る|音が聞こえないので、何も伝わらないまま流れ続けます
  • 暗転で終わる|ループのたびに画面が消え、通路からは故障に見えます
  • 文字が小さい|PCの画面で確認すると読めますが、3m離れると読めません
  • 2分以上にする|同じ場面が次に来るまでが長く、ほとんど見られない部分が出ます
  • 現物と同じものを映す|目の前にあるので、画面を見る理由がありません
  • 会場で初めて再生する|形式が合わず流せないことがあります
  • 1本で全部まかなう|通路向けと商談用は、役割が違うので兼用できません

展示会が終わったあとにやること

作った動画は、会期の数日で終わらせずに使い回します。

  • サイトのサービスページに置く|通路向けの短い版は、そのままWebでも使えます
  • SNSに投稿する|無音・短尺なので、ほぼそのまま出せます
  • オンライン展示会に転用する|用意するものと準備の進め方はオンライン展示会の準備にまとめています
  • 営業の資料に入れる|訪問先で見せる短い説明として使えます
  • 採用の説明会で流す|工程や現場の映像は、仕事の中身を伝える材料になります
  • 次回のために記録する|どのカットで足が止まったかを、担当者が覚えているうちに書き残します

一番の材料は、当日の観察です。 来場者がどのカットで足を止めたか、何について質問されたかを記録しておくと、次に作るときに迷いません。再生回数のような数字が取れない場で、唯一残る手がかりです。

編集を外に頼む場合は、この記録をそのまま渡します。指示書の作り方は動画編集を外注するときの注意点にまとめています。

まとめ

  • 展示会の動画は、音が聞こえない・途中から見られる・繰り返される、の3つから設計する
  • ストーリー仕立ては選べない。どこを切り取っても分かる画面の連続にする
  • モニターの位置を先に決める。通路向けを最優先で作る
  • 文字は大きく短く。1画面に1つだけ。3秒以上出す
  • 通路向けは20〜40秒、机上は60〜90秒。暗転で終わらせない
  • その場に持ち込めないもの(大きい・動く・中が見えない)を映す
  • ファイル形式・音量ゼロ・自動再生・スリープ解除を前日までに確認し、USBは2本用意する
  • 商談スペース用は別に1本。長いほうを先に作り、短い版を切り出す
  • 終わったあとはサイト・SNS・営業資料・採用に回す。当日の観察を記録しておく

京都市南区の株式会社HSEは、Webサイトの設計・制作と、動画の企画から撮影・編集までを同じ体制で対応しています。制作実績はこちらをご覧ください。

対応範囲は動画制作とデザイン・Webにまとめています。展示会に間に合わせたい日程のご相談や、既にある動画を展示会向けに作り直すご依頼でも構いません。お問い合わせからご連絡ください。

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