バナー・社内資料をAIで内製する手順|型を決めてから作る

バナーや社内資料をAIで作ってみたものの、「それっぽいけれど使えない」で止まることがあります。1枚ずつは形になるのに、並べると文字の大きさも色もばらばらで、会社の資料として出せない。
原因は、たいていAIの性能ではありません。型が決まっていないまま、毎回ゼロから作っていることです。デザイナーが作る場合も同じで、型がなければ1枚ごとに判断が変わります。
この記事では、自社で作るときの手順と、どこまで内製してどこから外注にするかの線引きを書きます。
- 内製しやすいもの・しにくいもの
- 作る前に決める3つ
- 手順は5つ
- 文言から先に決める
- 型(テンプレート)を1つ作る
- 画像で気をつけること
- 社内資料の場合
- 外注に切り替える判断
- 出す前に見る3点
- よくある失敗
- まとめ
内製しやすいもの・しにくいもの
| つくるもの | 内製 |
|---|---|
| 社内向けの資料 | しやすい |
| 社内説明用の図解 | しやすい |
| SNSの告知バナー | しやすい |
| 既存の型の差し替え | しやすい |
| 提案資料の本体 | 条件付き |
| 広告バナー | 条件付き |
| 採用向けの資料 | 条件付き |
| ロゴ・ブランドの基準 | しにくい |
| 商品パッケージ | しにくい |
| 会社案内の冊子 | しにくい |
線を分けているのは、見た目の難しさではなくやり直しのきくかどうかです。社内資料は直せばいいだけですが、ロゴやパッケージは後から変えると作り直しの範囲が大きくなります。
「条件付き」に入っているものは、型が社内にあるかどうかで変わります。提案資料のひな形が整っていれば内製できますし、毎回作り方から考えているなら、作るたびに品質がばらつきます。この分け方の考え方はAIに任せてよい業務・だめな業務の分け方にまとめています。
作る前に決める3つ
作り始める前に、次の3つを紙に書きます。これをやらずに生成を始めると、何度作り直しても決まりません。
- 何のために出すか|申し込みを取るのか、見てもらうだけか、社内の合意を取るのか
- どこに出るか|SNSのタイムライン、提案の場、採用サイト、印刷物
- 何を持っているか|使える写真、ロゴ、既存の資料、色の決まり
3つめが特に抜けます。自社の素材を使わずに作ると、どれだけ整っていても自社のものに見えません。 ロゴの正しいデータ、商品の写真、過去の資料。手元にあるものを先に集めます。
なお、最初に内製するものは、毎月何度も作っているものから選びます。年に1回の冊子より、毎週出している告知のほうが、型を作った効果がすぐ出ます。何から始めるかの選び方は中小企業のAI導入は何から始めるかにまとめています。
手順は5つ

1. 型を決める どの型で作るかを先に選びます。社内に型がなければ、この回で1つ作ります(次の次の節で書きます)。
2. 文言を確定する 入れる文字をすべて決めます。この段階では見た目を考えません。
3. 画像・図版を用意する 写真を選ぶか、図を作るか、生成するかを決めます。
4. 型に流し込む 決めた型に、文言と画像を入れます。ここで初めて見た目の調整をします。
5. 確認する 事実・権利・表記の3点を見ます。
この順番を崩さないことが一番効きます。 多いのは、見た目から入って、あとから文言を削る進め方です。そうすると「入りきらないから短くする」になり、言いたいことが落ちます。
文言から先に決める
バナーでも資料でも、先に決まっていないといけないのは文字です。
決める順番は次のとおりです。
- 言いたいこと1つ|1枚に1つだけ。2つあるなら2枚に分ける
- 見出し|言いたいことを短く。15〜20字が目安
- 補足|見出しだけで足りないときのみ。無くても構わない
- 次にすること|申し込む、見る、問い合わせる。無いなら入れない
見出しが決まらないまま作り始めると、作業が終わりません。 言いたいことが2つ以上あるときは、たいていここで止まります。その場合は分けます。
文言をAIに出させる場合は、案を10個出させて、自分で1つ選ぶのが早いです。1つずつ直していくより、並べて選ぶほうが判断しやすくなります。選ぶときの基準は「短いか」「誰に向けたものか分かるか」の2つで十分です。言い回しの巧さは要りません。
型(テンプレート)を1つ作る

内製の質が安定しない原因は、ほぼここです。型を1つ作れば、以降は中身を差し替えるだけになります。
型に書いておくのは次の6つです。
- 使う色|3色まで。背景・文字・強調の3つで足ります
- 使う書体|1〜2種類。太さの使い分けまで決める
- 文字の大きさ|見出し・本文・注釈の3段階
- 余白|外側の余白と、要素の間隔
- ロゴの位置と大きさ|毎回同じ場所に置く
- 入れないもの|装飾、影、グラデーション、使わない色
6つめを書いておくのが効きます。 「入れていいもの」だけを書くと、書いていないものが足されます。影や光彩が1枚だけ入ると、並べたときに浮きます。
型は、よく作るサイズで1つ作れば十分です。SNSの正方形か、資料の横長か、どちらか使う頻度の高いほうから作ります。整ったものが1つあれば、他のサイズはそこから展開できます。
画像で気をつけること
画像は、どこから来たものかで扱いが変わります。
- 自社で撮った写真|そのまま使えます。いちばん強い素材です
- 有料の素材サイト|利用範囲を確認します。用途によって条件が違います
- AIで生成した画像|使うツールの利用条件を確認します
- 検索で出てきた画像|使いません
AIで生成した画像で気をつけるのは2つです。1つは、実在する人物・企業・商品に似たものを作らないこと。もう1つは、実績や事例として見せないことです。「こういう雰囲気」の背景に使うのは問題ありませんが、自社の施工例や商品写真として出すと事実と違うものになります。
図解は、生成よりも自分で作ったほうが早いことが多いです。四角と線と文字で足ります。生成した図は、文字が崩れていたり、矢印の向きが合っていなかったりします。
権利まわりの社内の決め方は生成AIの社内ルールにまとめています。
社内資料の場合
スライドは、バナーより内製に向いています。やり直しがきき、社内で止まり、量が多いからです。
やることは3つです。
1つめは、1枚1メッセージにすること。 1枚に2つ入れると、どちらも伝わりません。多くなったら分けます。
2つめは、型を1枚作って複製すること。 表紙・本文・まとめの3種類で足ります。毎回レイアウトを考えないようにします。
3つめは、文章をそのまま貼らないこと。 AIに要約させた文をそのまま置くと、読み上げる資料になります。スライドは見るものなので、短い語に落とします。
もう1つ、社内資料で効くのが図を増やすことです。言葉で説明している箇所を、四角と矢印に置き換えるだけで理解が早くなります。凝った図は要りません。工程なら左から右に並べる、比較なら2列に分ける。この2つの型だけで、たいていの説明は収まります。
提案資料の構成をどう組むかは、BtoB向けLPの構成で書いた「順番から決める」考え方がそのまま使えます。読む人が何を知りたい順に見るかは、LPでも資料でも変わりません。
外注に切り替える判断
全部を内製にする必要はありません。次のどれかに当てはまったら、外注を検討します。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 型が社内に無い | 型だけ外注 |
| 作り直しが3回を超えた | 外注 |
| 社外に大きく出る | 外注 |
| 印刷物になる | 外注 |
| 量が多く手が回らない | 継続で外注 |
いちばん効率がいいのは、型だけ外注して中身を内製する形です。型が整っていれば、以降の差し替えは社内でできます。毎回1枚ずつ発注するより、全体の手間が減ります。
量が多くて手が回らない場合は、都度の発注より継続で頼む形のほうが合うことがあります。違いは定額制(サブスク)デザインサービスとはにまとめています。
出す前に見る3点
内製したものを出す前に見るのは、次の3点だけです。
- 事実|書いてある内容が本当か。数字、日付、名称
- 権利|使った画像と書体の条件を満たしているか
- 表記|社名、商品名、送り仮名が社内の書き方と合っているか
誰が見るかを決めておきます。 内製は作った人がそのまま出せてしまうので、確認が抜けやすくなります。1人でやっている場合でも、作った日と別の日に見ると気づくことが増えます。
自社サイトをAIで作ったときに実際に起きたことはAIでサイトを作るときの注意点に書いています。公開してから気づく種類の問題は、だいたい同じです。
よくある失敗
- 見た目から入る|文言が決まる前に作り始めると、言いたいことが削られます
- 型を作らずに量産する|並べたときに統一感が出ず、作り直しになります
- 自社の素材を使わない|整っていても、自社のものに見えません
- 1枚に2つ入れる|どちらも伝わりません
- 生成した画像を実績として使う|事実と違うものを出すことになります
- 作った人がそのまま出す|事実と表記の確認が抜けます
- 何度も作り直す|3回を超えたら、決まっていないのは作り方ではなく中身です
- 全部を内製にしようとする|ロゴや印刷物は、後から直す範囲が大きくなります
まとめ
- 内製しやすいのは、やり直しのきくもの。社内資料・告知バナー・既存の型の差し替え
- 作る前に、用途・出る場所・手元の素材の3つを決める
- 手順は、型 → 文言 → 画像 → 流し込み → 確認。順番を崩さない
- 文言は見出し1つから決める。言いたいことが2つなら2枚に分ける
- 型には「入れないもの」まで書く。これがないと1枚だけ浮く
- 画像は出どころで扱いが変わる。生成画像を実績として使わない
- 型だけ外注して中身を内製する形が、いちばん手間が減る
- 出す前に見るのは、事実・権利・表記の3点。見る人を決めておく
京都市南区の株式会社HSEは、Webサイト・グラフィック・動画の制作を手がけています。自社の制作業務にもAIを組み込み、判断は人、作業はAIという分担で運用しています。制作実績はこちらをご覧ください。
社内で使う型(テンプレート)の作成や、どこまで内製するかの整理はデザイン・WebとAIの相談窓口でお受けしています。型だけ作ってほしい、というご依頼でも構いません。お問い合わせからご連絡ください。