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AIで作ったものの公開前チェック|事実・権利・表記の見方

「公開前にチェックする」とだけ決めても、事故は減りません。何を見ればいいか書いていないので、読んで違和感がなければ通ってしまいます。

AIが出したものの間違いは、読んで気づく種類のものではないのが厄介なところです。文章としては整っていて、口調も自信があります。違和感で止まるなら、そもそもチェックは要りません。

必要なのは、何を・どこと照合するかを決めておくことです。この記事では、見る3点それぞれについて、照合する先と見落としやすい箇所を書きます。

  • 見るのは3点だけでいい
  • 事実:何をどこと照合するか
  • 事実で見落としやすい5つ
  • 権利:画像・書体・文章
  • 権利で見落としやすいもの
  • 表記:社内の書き方と合っているか
  • 誰が、いつ見るか
  • チェックに時間をかけない工夫
  • 媒体ごとの追加確認
  • よくある失敗
  • まとめ

見るのは3点だけでいい

見るのは事実・権利・表記の3点です。これ以上増やさないほうがうまくいきます。

  • 事実|書いてある内容が本当か
  • 権利|使っているものを使っていいか
  • 表記|自社の書き方と合っているか

項目を10個に増やすと、全部を見る人はいなくなります。3点なら、忙しい日でも通せます。 残りの観点(読みやすさ、構成、言い回し)は品質の話であって、事故につながるのはこの3つです。

逆に言うと、この3点は必ず通します。 急いでいるから今回は飛ばす、が一度あると、次から通らなくなります。

使う業務が1つか2つのうちは、この3点を口頭で共有しておけば足ります。文書にするのは、部署をまたいで使う人が増えてからで構いません。進め方は中小企業のAI導入は何から始めるかにまとめています。

事実:何をどこと照合するか

事実の確認は、「合っていそうか考える」ではなく、元を開いて突き合わせることです。何を開くかは、情報の種類で決まります。

書いてある内容 開くもの
自社の実績・事例 自社の記録
自社の商品の仕様 商品の資料
他社の名称・サービス名 相手の公式サイト
法令・制度 官公庁のページ
統計・市場の数字 一次の調査結果
日付・期間 カレンダーと契約書

ここに無いものは、そもそも書かないという決め方もあります。出どころを確認できない数字をどうしても入れたいなら、入れないほうが安全です。読む人は、その数字が合っているかを確かめられません。

AIに「出典を教えて」と聞いて返ってきたURLは、必ず開いて中身を見ます。 存在しないページや、書いてある内容と違うページが返ってくることがあります。開かずに脚注として載せると、確認したことにはなりません。

事実で見落としやすい5つ

照合していても抜けるのが、次の5つです。

1つめは、固有名詞の表記です。 会社名の「株式会社」が前か後ろか、サービス名の英字の大文字小文字、人名の旧字。相手の公式サイトをコピーして貼るのが確実です。

2つめは、数字の単位です。 万と千、%とポイント、税込と税抜。文章としては通るので、読んでも気づきません。

3つめは、「現在」が指す時点です。 「2026年現在」「最新の」「今年から」。書いた時点と公開する時点がずれると、嘘になります。日付を明記するか、時点に依存する表現を外します。

4つめは、古い情報です。 制度や仕様は変わります。「以前はそうだった」ものが混ざるので、制度の話は公開時点で開き直します。

5つめは、自社の実績です。 いちばん危ないのがここです。社名や件数、導入先の業種を、AIがそれらしく補うことがあります。自社のことこそ記録と照合します。

権利:画像・書体・文章

権利の確認も、照合する先が決まっています。

使うもの 確認する先
写真・イラスト 入手元の利用条件
書体 ライセンスの条文
AIで生成した画像 使ったツールの利用規約
他社の文章の引用 引用の要件を満たすか
ロゴ・商標 持ち主の使用ガイドライン
音楽・効果音 配布元の利用条件

「無料」と「自由に使える」は別です。 無料で配布されていても、商用不可・改変不可・クレジット必須といった条件が付いていることがあります。条件のページを開いて確認します。

引用については、自分の文章が主で、引用が従であること、引用部分がはっきり区別されていること、出どころが書いてあることが要ります。AIにまとめさせた他社の記事を、自分の文章として出すのは引用ではありません。

権利で見落としやすいもの

1つめは、書体です。 資料に使った書体が、そのPCに入っているだけで使用許諾を得ていないことがあります。印刷物や配布するPDFで特に問題になります。

2つめは、素材の再配布です。 素材サイトの画像を、自社のテンプレートに入れて社外に配ると、再配布にあたることがあります。

3つめは、生成画像を実績として出すことです。 「こういう雰囲気」の背景として使うのと、自社の施工例・商品写真として出すのは別です。後者は事実と違うものになります。

4つめは、人物です。 実在する人物に似た画像を作らない。社員の写真を使うときは、本人の了解を取ります。

AIで作ったものの権利をどう扱うかを社内で決める手順は、生成AIの社内ルールにまとめています。

表記:社内の書き方と合っているか

公開前に照合する3点と、その照合先

表記は、事故にはなりませんが、読む人に雑な印象を与えます。 1つの資料の中で表記が揺れていると、中身も確認していないように見えます。

見るのは次の4つです。

  • 自社の社名・サービス名|略称を使うか、英字表記はどれか
  • 送り仮名|「お問い合わせ」か「お問合せ」か
  • 数字と英字|半角か全角か、桁区切りを入れるか
  • 敬体と常体|ですます調か、だである調か

揺れやすいのは自社の名前そのものです。 AIは一般的な書き方に寄せるので、自社が決めた表記と違うものが混ざります。

対処は、照合先を1つ作っておくことです。社名・サービス名・よく使う用語を並べた1枚があれば、見るのは数十秒で済みます。無ければ、過去の公開済みの資料を1つ基準に決めます。

資料やバナーの型(テンプレート)を作っているなら、用語の一覧も同じ場所に置いておくと探さずに済みます。型に何を書いておくかはバナー・社内資料をAIで内製する手順にまとめています。

誰が、いつ見るか

チェックを機能させる3つの条件

チェック項目より、運用のほうが効きます。 決めるのは3つです。

1つめは、作った人以外が見ること。 作った本人は、書いたときの意図で読んでしまうので、書いていないことまで補って読みます。1人で仕事をしている場合は、次の条件で代用します。

2つめは、作った日と別の日に見ること。 一晩置くだけで、気づく量が変わります。どうしても当日なら、間に別の作業を挟みます。

3つめは、出す直前にしないこと。 送信ボタンの前では、見つかっても直す時間がありません。見つけても直せないと分かっていると、人は見つけないように読みます。余裕のある時点に置くのが、いちばん効きます。

このうち、止めるのは誰かを名前で決めておきます。 「気づいた人が言う」にすると、全員が誰かが見ていると思って通ります。どの業務に確認工程を足すかの考え方はAIに任せてよい業務・だめな業務の分け方にまとめています。

チェックに時間をかけない工夫

毎回10分かかると、やらなくなります。短くするのは次の3つです。

1つめは、照合先を先に集めておくこと。 作り始める前に、自社の記録・商品資料・用語の一覧をまとめて開いておきます。チェックのときに探し回らずに済みます。

2つめは、確認が要る箇所に印を付けながら作ること。 数字や固有名詞を書いた時点で印を付けておけば、あとで全文を読み返す必要がありません。

3つめは、出どころを本文に残しておくこと。 下書きの段階で「この数字は◯◯の資料」とメモを括弧書きで入れておき、公開前に外します。どこを確認すればいいかが一目で分かります。

AIに「このなかで事実確認が必要な箇所を挙げて」と聞くのは有効です。 ただし、挙がった箇所を確認するのは人です。AIに正誤の判定をさせても、確認したことにはなりません。

媒体ごとの追加確認

3点に加えて、出す先ごとに1つだけ足します。

  • Webサイト|リンク先が開くか。社内資料からコピーした相対パスが混ざることがあります
  • 提案資料・PDF|書体が埋め込まれているか。相手の環境で崩れます
  • SNS|文字数と、画像の見切れ。投稿画面で実際に見ます
  • 印刷物|色と、文字の小ささ。画面では読めても紙では読めません
  • メール|宛名と添付。本文より先にここを見ます

自社サイトをAIで作ったときに実際に起きたことはAIでサイトを作るときの注意点に書いています。公開してから気づく問題は、だいたい決まった種類に偏ります。

よくある失敗

  • チェックリストだけ配る|何と照合するかが書いていないと、読んで終わります
  • 項目を増やす|10個あると、誰も全部は見ません
  • 出典URLを開かずに載せる|存在しないページが載ることがあります
  • 自社の情報を確認しない|いちばん危ないのが自社の実績と数字です
  • 作った人がそのまま出す|書いたときの意図で読んでしまいます
  • 出す直前に見る|直す時間がないと、見つけないように読みます
  • 急ぎのときだけ飛ばす|一度飛ばすと、次から通らなくなります
  • AIに正誤を判定させる|間違いを挙げさせるのは有効ですが、確認するのは人です

まとめ

  • 見るのは事実・権利・表記の3点だけ。増やすと誰も全部は見ない
  • 事実は「考える」のではなく、元を開いて突き合わせる。開くものは情報の種類で決まる
  • 見落としやすいのは、固有名詞の表記・数字の単位・「現在」の時点・古い情報・自社の実績
  • 権利は入手元の条件を開く。「無料」と「自由に使える」は別
  • 生成画像を自社の実績として出さない
  • 表記は照合先を1枚作っておく。揺れやすいのは自社の名前そのもの
  • 作った人以外が、別の日に、出す直前ではない時点で見る
  • 止める人を名前で決める。「気づいた人が言う」にしない

京都市南区の株式会社HSEは、自社の制作業務にAIを組み込んで運用しています。判断は人、作業はAIという分担です。制作実績はこちらをご覧ください。

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