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社内でAIが使われない理由|一度動いたものが止まる原因と戻し方

「ツールは契約しているのですが、最近あまり使われていないようで」という相談があります。導入のときは何人かが試していて、3か月ほど経つと動きが止まっている。この形は珍しくありません。

使われなくなるのは、だいたい性能に失望したからではありません。 使い道が思い出せなくなるか、毎回の手間が割に合わなくなるか、聞ける相手がいなくなるか。どれも、最初はあった何かが無くなったことで起きます。

この記事では、一度動いたものが止まる原因と、戻し方を書きます。これから始める段階の話は中小企業のAI導入は何から始めるかにまとめています。

  • 「使われていない」には2種類ある
  • 止まる6つの原因
  • 使用状況をどう見るか
  • 止まった理由の聞き出し方
  • 使われる状態に戻す4つ
  • 研修をやってもうまくいかない理由
  • 詳しい人が1人だけ、をどう崩すか
  • 経営層がやること
  • 3か月後に見るもの
  • よくある失敗
  • まとめ

「使われていない」には2種類ある

同じ「使われていない」でも、中身が違います。

  • 一度も使われていない|何に使うか決まらないまま契約した状態
  • 使われていたが止まった|試した人はいたが、続かなかった状態

前者は、最初の1つを決めるところからやり直します。後者は、一度は動いているので原因が特定できます。 この記事は後者の話です。

見分け方は単純で、アカウントの利用履歴を見れば分かります。 最初の1〜2か月に動きがあって、その後が無ければ後者です。

止まる6つの原因

導入後にAIが使われなくなる6つの原因

実際に多いのは、次の6つです。

原因 起きていること
使い道を忘れる 自分の業務と結びつかない
毎回ゼロから書く 指示を書く手間が上回る
直し方が分からない 1回外すと戻ってこない
成果が見えない 続ける理由がなくなる
確認が重い 手作業のほうが早くなる
詳しい人に集約 他の人が触らなくなる

1つめがいちばん多いです。 導入時に「こんなことができます」と聞いても、自分の業務のどこに当てはまるかは、各自が考えることになります。考えないまま日常に戻ると、翌週には忘れています。

2つめは、型が無い状態です。 毎回ゼロから指示文を書くと、自分で書いたほうが早い場面が出てきます。1回でもそう感じると、次から開かなくなります。

3つめは、失敗したあとです。 思ったものが出てこなかったとき、指示を直せば済むのですが、直し方を知らないと「使えない」で終わります。

4つめは、効果が見えないことです。 時間が減っていても、本人がそれを実感する場がないと、続ける理由になりません。

5つめは、確認工程が重すぎる場合です。 作るのは3分でも、確認に20分かかるなら、最初から自分で書いたほうが早くなります。確認は必要ですが、重さは調整できます。

6つめは、詳しい人への集約です。 「あの人に頼めばやってくれる」状態になると、他の人は触らなくなります。その人が異動や休暇に入った時点で止まります。

使用状況をどう見るか

止まっているかどうかは、感覚ではなく記録で見ます。見るのは3つです。

  • アカウントごとの最終利用日|1か月開いていない人が何人いるか
  • 週あたりの利用回数|全社の合計ではなく、1人あたりで見る
  • 使われている業務の数|1種類だけなら、広がっていない

合計の利用回数だけを見ると、実態を見誤ります。 詳しい1人が大量に使っていると、合計は増えます。1人あたりで見ると、ほとんどの人が止まっていることが分かります。

法人向けのプランなら、管理画面で利用状況が見られることが多いです。見られない場合は、週に一度、使った回数を自己申告してもらう形でも足ります。 正確さより、止まっている人が分かることが大事です。

止まった理由の聞き出し方

聞き方で、返ってくる答えが変わります。

避ける聞き方 代わりに聞くこと
使っていますか 最後に使ったのはいつですか
役に立っていますか 直近で使った業務は何ですか
何か問題ありますか うまくいかなかったのはどんなときですか
使ってみてどうですか 自分で書いたほうが早かったのはどの作業ですか

左の聞き方には「はい」としか返ってきません。 使っていないと答えると、怠けていると受け取られそうだからです。

右のように、事実を聞く形にすると実態が出ます。 特に効くのが4つめで、「自分で書いたほうが早かった」場面が分かると、型を作るべき箇所が特定できます。

聞く相手は、止まっている人です。使っている人に聞いても、止まる理由は出てきません。

使われる状態に戻す4つ

使われる状態に戻すためにやること

原因が分かったら、やることは4つです。

1. 使い道を業務名で配る 「文章作成に使えます」ではなく、「日報の下書き」「見積の添え状」「問い合わせ返信のたたき台」と、業務名で並べます。自分の仕事の名前が書いてあれば、当てはめる作業が要りません。 10個並べて、各自が1つ選ぶ形が早いです。

2. 指示文を共有の置き場に貯める うまくいった指示文を、全員が見られる場所に置きます。ファイル1つで構いません。毎回ゼロから書く状態を無くすのが目的です。名前は業務名にして、探せるようにします。資料やバナーを作る業務なら、指示文より先に型(テンプレート)を置くほうが効きます。型に何を書くかはバナー・社内資料をAIで内製する手順にまとめています。

3. うまくいった例を週に1つ流す 朝礼でも社内チャットでも構いません。「この資料、ここまでAIで作りました」を1つ見せます。ルールを配るより、例を見せるほうが使われます。 続ける理由がここで生まれます。

4. 確認工程を軽くする 確認が重いと、作る時間の短縮が消えます。見るのは事実・権利・表記の3点に絞ります。何をどこと照合するかはAIで作ったものの公開前チェックにまとめています。

研修をやってもうまくいかない理由

止まったときに研修を企画することがありますが、たいてい同じ場所に戻ります。

理由は2つです。

1つめは、研修では一般的な使い方しか扱えないこと。 参加者の業務はばらばらなので、「各自の仕事に当てはめてください」で終わります。その当てはめができないことが、そもそもの原因でした。

2つめは、終わったあとに戻る場所が無いこと。 研修で分かった気になっても、翌日に手元で詰まると止まります。聞ける相手と、見られる例が要ります。

研修をやるなら、同じ業務の人だけを集めて、その場で実際の仕事を1つ処理する形にします。持ち帰らせない。終わったときに、使える指示文が1つ手元にある状態にします。

詳しい人が1人だけ、をどう崩すか

1人に集約している状態は、短期的には効率的に見えます。頼めば早いからです。

崩すには、その人の役割を「やる人」から「置く人」に変えます。

  • 頼まれた作業をやる代わりに、使った指示文を共有の置き場に置く
  • 「やっておきます」ではなく「このやり方でできます」と返す
  • 月に1回、よく使う指示文を整理する時間を業務として確保する

本人の負担は減ります。 同じ依頼が繰り返し来る状態が解消されるからです。

もう1つ、その人が使っていない業務を1つ、別の人に持たせます。 詳しい人が触っていない領域なら、頼られることもありません。業務の切り分け方はAIに任せてよい業務・だめな業務の分け方にまとめています。

経営層がやること

導入のときは「使ってみよう」と号令をかければ動きますが、止まったあとに同じことをしても戻りません。

やることは2つです。

1つめは、自分の業務で使って、例を出すこと。 判断する立場の人が「この議事録、ここまでAIで整理した」と見せると、現場の受け取り方が変わります。使っていない人が効果を聞くと、現場は成果を求められていると受け取ります。

2つめは、時間を業務として確保すること。 指示文を整理する、例を共有する、使い道を考える。どれも空いた時間ではできません。月に数時間を業務時間として置きます。

逆に、やらないほうがいいのが利用回数の目標設定です。回数が目的になると、使わなくていい場面でも使うようになり、確認の手間だけが増えます。

3か月後に見るもの

戻す施策を打ったら、3か月後に次の3つを見ます。

  • 1人あたりの週の利用回数|合計ではなく1人あたり
  • 使われている業務の種類|1種類から増えたか
  • 共有の置き場にある指示文の数|増えていなければ、まだ1人に依存している

3つめがいちばん早く分かります。 指示文が増えていない状態は、使っている人が固定されているか、置く習慣がついていないかのどちらかです。

数が増えていれば、中身の質は気にしなくて構いません。 使われているうちに良くなります。この状態まで来たら、社内ルールを文書にする段階です。決める項目は生成AIの社内ルールにまとめています。

よくある失敗

  • 合計の利用回数で判断する|詳しい1人の数字に隠れて、止まっている人が見えません
  • 「使っていますか」と聞く|「はい」しか返ってきません
  • 使っている人にだけ話を聞く|止まる理由は出てきません
  • 研修で解決しようとする|一般的な使い方では、各自の業務に当てはまりません
  • 利用回数の目標を置く|使わなくていい場面でも使うようになります
  • 詳しい人に任せ続ける|その人が抜けた時点で止まります
  • 確認工程を増やす|事故を恐れて重くすると、手作業のほうが早くなります
  • 効果を数字で説明しようとする|例を1つ見せるほうが早く伝わります

まとめ

  • 「使われていない」には、一度も使われていない場合と、止まった場合がある
  • 止まる原因は、使い道を忘れる・毎回ゼロから書く・直し方が分からない・成果が見えない・確認が重い・詳しい人に集約、の6つ
  • 使用状況は1人あたりで見る。合計では止まっている人が隠れる
  • 「使っていますか」ではなく「最後に使ったのはいつか」を聞く
  • 戻すのは4つ。業務名で使い道を配る、指示文を貯める、例を週1つ流す、確認を軽くする
  • 研修は、同じ業務の人を集めて、その場で仕事を1つ処理する形にする
  • 詳しい人の役割を「やる人」から「置く人」に変える
  • 3か月後に見るのは、1人あたりの回数・業務の種類・指示文の数

京都市南区の株式会社HSEは、自社の制作業務にAIを組み込んで運用しています。判断は人、作業はAIという分担です。制作実績はこちらをご覧ください。

導入したものの使われていない、という状態からの立て直しもAIの相談窓口でお受けしています。止まっている理由の洗い出しから、使い道の整理までご一緒します。お問い合わせからご連絡ください。

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