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デザインは採用か外注か|1つに決めず、仕事ごとに振り分ける

「デザイナーを採用すべきか、外注を続けるべきか」という相談があります。多くの場合、この問いの立て方のほうに無理があります。

デザインの仕事は1種類ではありません。毎週出てくるバナーの差し替えと、3年に1度のサイト全面リニューアルを、同じ手段でまかなおうとするから合わなくなります。どれか1つを選ぶのではなく、仕事ごとに振り分けるほうが現実的です。

この記事では、仕事の分け方と、組み合わせ方を書きます。サブスク型のサービスそのものの説明は定額制(サブスク)デザインサービスとはにまとめています。

  • 「どれか1つ」という前提が合わない
  • デザインの仕事は3種類に分かれる
  • 3つの手段は何が違うか
  • 分け方の軸は、頻度と判断の量
  • 内製に向く仕事
  • 都度外注に向く仕事
  • サブスクに向く仕事
  • 組み合わせの型
  • 採用は「手」ではなく「判断」を置くこと
  • 1人目のデザイナーを潰さない
  • 切り替えどきの見分け方
  • よくある失敗
  • まとめ

「どれか1つ」という前提が合わない

採用・都度外注・サブスクを並べて比べると、どれにも欠点が見えます。採用は人が見つからない。都度外注は毎回の説明が重い。サブスクは大きいものを頼みにくい。

欠点が見えるのは、1つで全部をまかなおうとしているからです。 実際には、1社の中でデザインの仕事は性質がばらけています。

  • 毎週出てくる、決まった形の差し替え
  • 月に数回、少し考えるもの
  • 年に1〜2回、全体を作り直すもの

この3つを同じ手段でやろうとすると、どこかが必ず噛み合いません。まず自社のデザイン業務を3つに分けるところから始めます。

デザインの仕事は3種類に分かれる

分け方は、作るものの種類ではなく、どれくらいの頻度で出るかと、どれくらい判断が要るかです。

デザインの仕事を頻度と判断の量で3つに分ける

1つめは、繰り返しの作業です。 バナーのサイズ違い、資料の体裁、SNSの定型投稿、既存ページへの追記。形が決まっていて、判断はほとんど要りません。量だけが多い種類です。

2つめは、応用です。 新しいサービスのLP、展示会のパネル、採用パンフレット。既存の型を使いながら、中身に合わせて作り替えます。判断は要るが、ゼロからではないという位置です。

3つめは、土台づくりです。 ロゴ、サイト全面リニューアル、事業の見せ方の整理。頻度は低いですが、ここで決めたことが残りの仕事の前提になります。

この3つは、必要な能力も、かかる時間も違います。 同じ人・同じ契約でまかなおうとすると、どれかが後回しになります。だいたい後回しになるのは3つめで、その結果、型が無いまま量産が続きます。

3つの手段は何が違うか

手段のほうも整理しておきます。

採用(内製) 都度外注 サブスク
向く仕事 繰り返し・応用 土台づくり 繰り返し・応用
立ち上がりの早さ 遅い(採用に数か月) 案件ごとに都度 早い
社内の事情の理解 深い 浅い 中くらい
大きい案件 1人では厳しい 得意 契約によっては不可
量の調整 できない できる 月ごとに調整できる
止まるリスク 退職で止まる 相手の都合で止まる 解約で止まる
社内に残るもの 判断の基準が残る 成果物だけ残る 型が残ることがある

いちばん見落とされるのが、最後の行です。 都度外注は、作ったものは残っても、なぜそうしたかの判断が社内に残りません。次に別のところへ頼むと、また一から説明することになります。

分け方の軸は、頻度と判断の量

仕事と手段を突き合わせます。

仕事の性質 第一候補 代わりになるもの
毎週・判断が薄い 内製 サブスク
月数回・判断が中くらい サブスク 内製
年1〜2回・判断が重い 都度外注 サブスク(対応範囲による)
突発・急ぎ サブスク 都度外注
専門性が高い(映像・3D等) 都度外注 —

「毎週・判断が薄い」を外注に出し続けるのが、いちばんもったいない形です。 毎回の依頼と確認に時間がかかり、作る時間より調整の時間のほうが長くなります。ここは型を作って社内で回すほうが早くなります。型の作り方はバナー・社内資料をAIで内製する手順にまとめています。

逆に、「年1〜2回・判断が重い」を内製で抱えるのも噛み合いません。 年に1度しかやらない仕事は、社内に経験が貯まりません。やるたびに手探りになります。

内製に向く仕事

次のような仕事は、社内でやるほうが早く回ります。

  • 形が決まっていて、量がある|バナーのサイズ展開、資料の体裁、商品画像の加工
  • 社内の事情が分からないと作れない|現場の写真選び、商品の見せ方
  • 急に差し替えが入る|価格や日程の変更、在庫切れの告知
  • 外に出しにくい情報が入る|未公開の商品、社内向けの資料

ただし、型が無いと内製は成立しません。 色・文字・余白・ロゴの扱いが決まっていないと、作る人によって見た目がばらつきます。型だけを外に作ってもらい、中身を社内で回す形が現実的です。

都度外注に向く仕事

次のような仕事は、案件ごとに頼むほうが合います。

  • 年に1〜2回しかない|サイトの全面リニューアル、会社案内の作り直し
  • 専門の技術が要る|映像、3D、イラスト、撮影
  • 外からの視点が要る|ロゴ、事業の見せ方の整理
  • 規模が大きく、期間が決まっている|複数ページのサイト、展示会一式

頼み方で結果が大きく変わるのもこの種類です。何を解決したいかを先に書いて渡すと、提案の質が変わります。 書き方はWeb制作の提案依頼書(RFP)の書き方にまとめています。

「外からの視点が要る」は、社内にデザイナーがいても当てはまります。 中にいる人ほど、社内の常識が前提になります。土台づくりだけは外に出す、という判断は合理的です。

サブスクに向く仕事

定額制のサービスは、次の形に当てはまるときに効きます。

  • 月に数回〜十数回、波がある|繁忙期と閑散期の差が大きい
  • 1件あたりは小さいが、種類が多い|バナー、スライド、SNS、チラシ
  • 毎回の見積もりと発注が重い|社内の手続きが都度発生する
  • 相談だけしたいときがある|作る前に方向を決めたい

「相談だけしたい」が意外と大きい利点です。 都度外注では、相談だけのために発注するのが難しく、社内で決めてから渡すことになります。決め方そのものに相談相手がいる状態のほうが、やり直しが減ります。

契約前に確認する点は定額制(サブスク)デザインサービスとはに書いています。対応範囲と、大きい案件を頼めるかは契約によって違います。

組み合わせの型

実際にはこの4つのどれかに落ち着くことが多いです。

デザインリソースの組み合わせ4パターン

型A:全部を都度外注。デザインの仕事が年に数回しかない会社です。無理に手段を増やす必要はありません。

型B:サブスク+都度外注。日常の制作をサブスクで回し、土台づくりだけ別に頼みます。社内にデザイナーがいない会社では、これがいちばん噛み合います。

型C:内製+都度外注。社内に1〜2人いて、繰り返しと応用を回します。土台づくりと専門分野だけ外に出します。

型D:内製+サブスク。内製が追いつかない波の部分をサブスクで吸収します。採用を1人増やす前に、この形で足りるかを見るほうが早く判断できます。

どの型でも、土台づくりを誰がやるかは決めておきます。 ここが空白のまま量産が続くと、作ったものがばらけていきます。

採用は「手」ではなく「判断」を置くこと

採用を検討するときに、いちばん効く問いがあります。**「作る人が足りないのか、決める人がいないのか」**です。

作る人が足りないだけなら、採用でなくても解決します。サブスクでも都度外注でも、手は増やせます。採用に数か月かけて、合う人が見つかる保証もありません。

採用で手に入るのは、社内に判断が置かれることです。

  • その場で「これでいい/よくない」を決められる
  • 社内の事情を踏まえて優先順位を付けられる
  • 外注先に何を頼むかを決められる
  • 型を作り、それを守らせられる

この4つが欲しいなら採用です。手が欲しいだけなら、採用は遠回りになります。

1人目のデザイナーを潰さない

採用した後にいちばん多い失敗が、その人に全部やらせることです。

1人目のデザイナーに、日々のバナーからサイトのリニューアルまで全部を振ると、数か月で手が止まります。日々の制作に追われて、型づくりも外注の管理もできません。結果として、社内に型が無いまま、1人が量産し続ける状態になります。 その人が辞めた時点で、何も残りません。

1人目に置く役割は、作る人ではなく決める人・振り分ける人です。

  • 型を作る(色・文字・余白・ロゴの扱い)
  • 日々の制作のうち、他の社員でもできる形にする
  • 外に出すものを決めて、依頼と確認をする
  • 社内の相談を受ける

自分で作る時間は、半分以下を想定しておきます。 残りは、他の人が作れる状態を作る時間です。入社してすぐの数か月は、まず社内にあるものを整理する期間にします。

切り替えどきの見分け方

いまの形を変えるかどうかは、件数で見ると判断しやすくなります。

こうなったら 考えること
都度外注の依頼が月5件を超えた 見積もりと発注の手間がかさむ。サブスクを検討
同じ説明を3回以上している 型が無い。型づくりを外に頼む
社内で作ったものの見た目がばらつく 判断する人がいない。採用かサブスクでの相談を検討
サブスクで大きい案件が止まっている 土台づくりだけ都度外注に出す
デザイナー1人の手が止まっている 作業を他の社員に渡す形にする。増員は後
依頼から公開まで2週間以上かかる 手段ではなく、社内の決裁の問題かもしれない

最後の行は見落とされがちです。 遅いのが外注のせいだと思っていたら、社内の確認に1週間かかっていた、ということがあります。手段を変える前に、どこで時間が溶けているかを分けて見ます。

よくある失敗

  • どれか1つに決めようとする|仕事の性質が違うので、1つでは噛み合いません
  • 毎週の定型作業を外に出し続ける|調整の時間のほうが長くなります
  • 年1回の大きい仕事を内製で抱える|経験が貯まらず、毎回手探りになります
  • 型が無いまま内製を始める|作る人によって見た目がばらつきます
  • 手が足りないから採用する|採用で手に入るのは判断です
  • 1人目に全部やらせる|数か月で止まり、何も残りません
  • 土台づくりを誰もやらない|量産するほど、ばらけていきます
  • 外注先を毎回変える|判断が残らず、毎回説明からやり直しになります

まとめ

  • 採用・都度外注・サブスクは、どれか1つを選ぶものではない
  • デザインの仕事を、繰り返し・応用・土台づくりの3つに分ける
  • 分ける軸は、どれくらいの頻度で出るかと、どれくらい判断が要るか
  • 毎週・判断が薄い仕事は内製。年1〜2回・判断が重い仕事は都度外注
  • 組み合わせは4つの型に落ち着く。どの型でも土台づくりの担当を決める
  • 採用で手に入るのは手ではなく判断。手が欲しいだけなら遠回りになる
  • 1人目のデザイナーは、作る人ではなく決める人・振り分ける人に置く
  • 切り替えは件数で見る。遅さの原因が社内の決裁にあることもある

京都市南区の株式会社HSEは、定額制のデザインサービスと、案件ごとの制作の両方を行っています。型づくりだけ、日々の制作だけ、といった部分的なご依頼も承ります。制作実績はこちらをご覧ください。

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